大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)2544 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人奥野彦六の上告趣意について。

所論は、原判決が第一審公判の証人Aの証言等によつて第一審判決認定事実を認

められるとしたことは論旨引用の当裁判所の判例に反するというけれども、(一)

引用の昭和二六年三月三〇日判決は、控訴審における或証人訊問調書の証言中その

証人の単なる捜査官としての意見の陳述に外ならない部分を控訴審判決が認定した

犯罪事実の決定的な証拠の一として採つて判決に挙示したことを違法としこの違法

は判決に影響なしと言うことはできないとしたものであるが、所論Aの証言中には

第一、二審判決が採つて罪証に供したと見られるような単なる意見陳述の記載は記

録上存しないから、右判例は事案を異にし本件に適切でない。(二)次に引用の昭

和二八年(あ)一三四二号同三一年九月一四日判決は、上告審が上告趣意をすべて

採用できないとしたが職権審査の結果Bなる者の警察殊に検察庁における供述にに

わかに措信しえない数点の事由があると判断し、同人の検察官に対する第一、二回

供述調書の信用性乃至証明力について更に一段の深い検討を加えずこれを証拠に採

つて事実を認定した第一、二審判決はいずれもその判決に影響を及ぼすべき重大な

事実の誤認を疑うに足る顕著な事由があつて、共にこれを破棄しなければ著しく正

義に反するものと認められるとし、刑訴四一一条三号により原判決を破棄したもの

であつて、決して一般的に、有罪判決の罪証に供せられた供述調書における供述の

一部がにわかに措信できない事由があると認められる場合には刑訴四〇五条二号に

よる上告理由あるものとした趣旨でないこと明らかである。そして、本件第一審判

決が証拠とした証人Aの供述には論旨引用のような互いにくいちがう供述があるが

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第一、二審判決はその中判決において認めた事実に合致する供述部分を措信採用し

た趣旨であること判文上明白であるから、原判決には右判例と相反するところはな

い。論旨は所詮原判決の証拠の取捨、採証法則違反ないし事実誤認の主張をいでず

上告適法の理由とならない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で

主文のとおり決定する。

昭和三一年一二月二五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

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